星空のレントゲン。色と明るさで分類した【HR図】で太陽の終わりも見える。

知りたい

夜空を見上げれば無数の星が輝いています。

 

これらの星は一見、無秩序に何の関連性もなく輝いているだけ

と思われる方が多いかもしれません。

 

ですが、「色(温度)」と「明るさ」

というフィルターで分類したら

くっきりと種族の違いが見えてきます。

 

さらには、星の進化や一生までもが浮き彫りになります。

 

今回はそんな魔法の図

ヘルツシュプルングラッセル図(HR図)をご紹介します。

 

HR図がわかるようになったらきっとあなたも「星」研究者の第一歩です!

 

HR図

さっそく、以下がHR図です。

(Credit: European Southern Observatory (ESO))

 

???なんのこっちゃと思うかもしれません。

1つずつ見ていきましょう!

 

縦軸:明るさ

上に行くほど明るい星

下に行くほど暗い星

であることを表しています。

 

太陽の明るさが「1」として表されています。

左側の軸 ”Luminosity(Solar Units)” が ”1”

のところを右たどって見ていくと”Sun”(太陽)がありますね。

 

明るさ「10」は太陽の10倍明るい星です。

上に行けば行くほど明るい星といえます。

 

明るいということ

そもそも明るいとはどういうことでしょうか?

そんなこと考えたことなかった!という方が多いのではないでしょうか。

 

明るさに関しては

  • 見かけの明るさ (brightness:ブライトネス)
  • 光度      (luminosity:ルミノシティ) 

という2つの表し方があります。

 

例えば3m先に豆電球がついているとします。

 

近づけば近づくほど明るく見える

というのは、見かけの明るさ(ブライトネス)のことを表しています。

 

目の前に豆電球を近づけられるとまぶしいですよね。

逆に遠くの豆電球は暗くて見えづらいですよね。

これが見かけの明るさです。

 

一方で、買った豆電球の箱の裏を見ると

「消費電力40W(ワット)」と書いてあります。

 

これは、自分が豆電球の3m先に居ようが、目の前に居ようが

豆電球自体は40w(ワット)相当の光を発し続けていますよ

という表示です。

 

このように見た目によらない明るさ、

出しているエネルギーを明るさの基準としたものを

光度(ルミノシティ)といいます。

 

HR図では明るさを光度で表すのが一般的です。

 

色と温度

物体は温度に応じた色を放つことが知られています。

 

こちらもなかなか普段では結びつかない考え方ではないでしょうか。

 

ドイツの物理学者ヴィヘルム・ヴィーンによって示された

”ウィーンの変位則”によれば、

 

温度高いものほど、波長短くなり

温度低いものほど、波長長くなる

 

ことが知られています。

 

 

この波長長い短いというのが色に関係する部分になります。

 

雨上がりの虹を観測すると様々な色が見えますが

太陽の光⇒ のように

雨の水滴によって異なる波長に分解されて、異なる色が見えています。

 

 610~780 ナノメートル (波長長い

 380~430 ナノメートル (波長短い

 

もともと自然の光に内在していた

赤から紫までの色の種類と強度のバリエーションをスペクトルといいます。

 

星の色がく見えるとすれば、赤色成分が多く含まれていると考えられます。

赤色を示すのは、波長長いものでした。

 

さらにウィーンの変位則から、温度低いということもわかります。

 

この辺の情報がHR図の横軸に盛り込まれているのです。

実際HR図を見てみると右側(低温)になればなるほど

赤い星が多くなっているのがわかります。

 

星のスペクトル型

色と温度、スペクトルに関係があることがわかりました。

 

HR図のOBAFGKMというアルファベットはいったい何でしょうか?

 

これは、先ほどの温度や色で星をカテゴリー分けする際に用いる名前です。

表面温度 K
O 29,000-60,000
B 10,000-29,000 青~青白
A 7,500-10,000
F 6,000-7,500 黄白
G 5,300-6,000
K 3,900-5,300
M 2,500-3,900

wikipediaより)

このOBAFGKMによる分類をスペクトル型による分類といいます。

 

青くて温度が29000K~60000Kくらいの星をO型と分類しよう!

という感じです。

 

この分類の覚え方として

“Oh, Be A Fine Girl, Kiss Me” (オーいい子になってキスしておくれ)というのが有名です。

「良い国作ろう鎌倉幕府」のような感じですね。

 

子供に対しての言葉でしょうね。異性だったらわりと変態かもしれません笑。

 

私は、「お婆フグ噛む」などと覚えていた記憶があります笑。

 

主系列星

さて、ひとつひとつ見ていきます。

 

主系列星(メインシーケンス)というのは

HR図の左↑から右↓に流れるエリアに属する星の総称です。

もっとも多くの星が属しています。

なぜ多くの星が主系列星かというと

星は生まれてから少しして、(特殊な生まれ方を除き)

そのほとんどが太陽のように水素の核融合反応が安定に進行する状態になります。

 

そして、その状態のまま星は一生のうちの大部分を過ごします。

例えていうなら人間における小学校から60歳くらいまでの期間とでもいえるでしょうか。

 

なのでこの左↑から右↓のエリアに属している星は

今まさにガンガン燃えている星といえます。

 

例として左↑は

温度が高く青色のO型の星が今まさにガンガン燃えています。

 

この左↑のO型の星は質量が大きく、その場合、核融合も爆発的に起こるので

寿命は比較的短いです。

 

 

少し注目すると質量一定のラインがHR図中に斜め線で描かれており

ちょうどLuminosityが10の5乗のところにある

O型星のßセンタウリは

太陽の10倍くらいの質量があることも分かります。

 

    実際のβ Centauri

    Credit: wikipedia enSkatebiker

 

天文学の単位

余談ですが、天文学では、よく太陽が色々な量の基準になります。

 

上で紹介した、βセンタウリの場合だと太陽の10倍の重さなので

と表します。(読み方は10ソーラーマスといいます)

 

同じく光度の場合は太陽の光度を

と表します。(読み方は特になかったと思います。)

 

なんかかっこいいですよね。

 

昔、東京ドーム1個分という表現がよくテレビなどで使われていましたが、

天文学の流儀で表すとなれば、

とかできるんでしょうかね。

 

単位は私たちが便利につけて良いもの という一つの例ですね!

オリジナルの単位を作って遊んでみるのも楽しいかもしれません。

主系列星の以後の星

太陽のような主系列星はやがて、

燃えて輝くための内部の燃料を使い果たしてしまいます。

 

そしてHR図上では主系列星から外れて

その多くは右↑にシフトする運命を歩みます。

 

赤色巨星

内部の燃料が燃え尽きて、収縮する際その重力エネルギーの放出に伴って

外側の層が温められてボワっと広がった星です。

 

広がった後の外側の層は温度が低くなり、

大きく赤い星に見えるため「赤色巨星」と呼ばれています。

   クジラ座のミラという赤色巨星

赤色超巨星

赤色で太陽よりはるかに大きく、明るい星のことです。

直径は太陽の数百倍から数千倍にまでおよび

明るさも数千倍から数万倍ほどの星です。

右上の米粒程の大きさが太陽。手前の大きい星がアンタレスという赤色超巨星

HR図では「くの字」のモワっとした繋がりで赤色超巨星までのルートが描かれています。

 

白色矮星

赤色巨星の外側の層は、ボワっと広がっており、束縛されるものがないので

そのままにしておくと、

ちょうどお風呂に入浴剤を入れたときのように、

宇宙に流れて行ってしまいます。

 

この宇宙に流れていった部分は惑星状星雲と呼ばれています。

     惑星状星雲

 

外側の層がはがれて、残された中心核は、核融合が終了して

死んだ星 ”白色矮星(はくしょくわいせい)”  として宇宙空間に漂います。

矢印の先にあるのがシリウスBと呼ばれる白色矮星です。

白色矮星になったとしても衝撃や変化があれば再び活動を始めることもあります。

 

HR図中では左↓のところに固まって存在しています。

 

中性子性やブラックホール

大雑把に言って、

 

太陽の8倍以上の重さがある星は

中性子星やブラックホールになる資格があります。

 

というのも重すぎるため、赤色巨星や超巨星を経た後に

中心核が白色矮星で止まらずに、まだまだ自分の重さでグングン縮もうとします。

 

縮む→外側に火をつける→縮む→外側に火をつける

という繰り返しを行い、玉ねぎの皮ように元素ごとの層を作ります。

 

  (Credit WikipediaRursus – R. J. Hall)

 

最終的に

最も安定な元素 ”鉄(Fe)” を生成したところで反応はとまり、

その止まった反動で超新星爆発という大爆発を起こします。

 

そして、残された中心核は極限まで縮み、

それが中性子やブラックホールになるとされています。

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

HR図を発端として、星の生まれ方や死に方、

ブラックホールの生成までお話をすることができました。

 

その過程で

明るいとは何かや

色と温度、スペクトル型というものもご紹介できました。

 

星はHR図の中で生きているといっても過言ではないかもしれません。

 

それだけ魅力にあふれた宇宙の星のレントゲン。

HR図を知って天文学者になった気分で夜空を見てはいかがでしょうか?

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